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バカ殿経営者に殺されない勤め方 (ゲンダイネット)
グッドウィル・グループの折口雅博CEOは、自分を天皇になぞらえ、後継を「皇位継承」と呼び、業績の悪い役員や関連会社社長を面罵(めんば)したという。しかし近ごろ、六本木あたりの“創業経営者”にこの手のバカ殿が少なくない。成果主義を振り回し、自分が全能だと勘違いしているのだ。バカ殿に殺されない勤め方はあるのか――。
●バカ殿はどんな連中か
ワンマン経営者はまず「子供クン」である。赤ん坊が自分の思い通りにならないと駄々をこねるのと同様、「何で俺の言う通りにできないんだ!」と怒りはじめる。もとより説得力なんてないから、部下を動かすのは「カネと恫喝(どうかつ)」だと思っている。
「ホリエモン、村上世彰、折口氏に共通しているのは、過去の体験を話したがることですね。なぜこういう事業を始めたのかを語ることで、自分を正当化し、ほめてもらいたいんでしょう。政治家や大物経営者との人脈を自慢したがるのも同じ理由です。元来ケチで、自分には高級車やクルーザーなどのカネは使うが、従業員の給料などは払いたくないというのが本心です」(経営評論家)
新入社員なら3年で辞めてしまえばいいが、女房子供がいてはそうもいかない。こんなやつはどうやり過ごせばいいのか。
●バカ殿とどう付き合うか
バカ殿は平気で部下を罵倒(ばとう)するが、暴言を浴びせられても、とりあえず怒りが収まるまで反論せずひたすら聞く。その後は、なかったことと忘れるのが一番だ。本紙金曜日掲載の「サラリーマン楽観主義」の作家・矢島正雄氏はこう言う。
「敵は虫の居所が悪かっただけなのだから、クヨクヨ悩んだら損です。チンピラに絡まれたと思って、腹の中で笑ってやりましょう」
業績が上がらないことにもっとも絡んでくるだろうが、そのときは努力をしていることを強調しながら、「状況が悪いのですが、どうしたら打破できるでしょうか」と意見を求める。得意になって「こうすればいい」と言ってくるはずで、それで数字が上がらなくても、今度は文句は言えなくなる。
また、決してこちらから意見を言ってはいけない。求められたときだけ意見を言うのが無難だ。「腹をくくって取り巻きになるのも処世です。まあ、バカ殿は遠からずつまずきますからね」(矢島正雄氏=前出)
取り巻きになるなら、酒席などに誘われたときは決して断ってはいけない。出張先からとんぼ返りしてでも駆けつけるのだ。
危ないのは同僚とグチること。社内にスパイを放っていることが多く、信用している同僚が実はそうだったということが少なくない。
●バカ殿の足を引っ張る
バカ殿の周辺にはイエスマンしかいないように見えるが、実際には面従腹背の幹部ばかりだ。クーデターは時間の問題で、そうした幹部と気脈を通じて時を待つ。
法律的にやっつけたいなら、マスメディアや担当の役所に「内部告発」するのもいいし、パワーハラスメントが目に余るようなら、裁判所に労働審判の申し立てをする。バカ殿との関係は最悪になるが、少なくともむやみに手出しできなくなるはずだ。
【2007年6月18日掲載記事】